アニメ『呪術廻戦』のOP・ED！映画主題歌を一挙に解説

緊張感あるストーリーと迫力ある映像で多くのファンを魅了してきたアニメ作品『呪術廻戦』は、全世界でのシリーズ累計発行部数が1億部を超える大人気漫画です。その世界観をより深く印象づけているのが、オープニングやエンディングで流れる数々の楽曲です。疾走感のあるロックから、感情に寄り添うバラードまで、音楽にも強いこだわりが感じられます。映画『呪術廻戦 0』の主題歌にも注目が集まりました。

呪術廻戦の作品概要

『呪術廻戦』は芥見下々先生による漫画を原作とし、人間の負の感情から生まれる「呪霊」と戦う呪術師たちの戦いを描いたダークファンタジーです。物語の深みやスピード感ある展開、キャラクターたちの成長が多くのファンを魅了し、アニメ化を機にさらに人気が拡大しました。

◾️アニメの制作会社

アニメ『呪術廻戦』の制作を担当しているのは、映像美とアクション演出に定評のあるMAPPAです。『進撃の巨人 The Final Season』や『チェンソーマン』などでも知られ、作画のクオリティと大胆なカメラワークが高く評価されています。呪術廻戦でも原作のバトルシーンを迫力満点に再現し、臨場感ある演出で視聴者を魅了。細やかなキャラクターの表情描写やスピーディーな動きなど、MAPPAならではの技術が随所に光ります。

参考：株式会社MAPPA

◾️あらすじ

並外れた身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁が、呪いに関わったことをきっかけに、呪術高専へ入学するところから物語は始まります。彼の体には最強の呪い「両面宿儺（りょうめんすくな）」が封じられており、その力を制御しながら仲間たちと共に数々の呪霊と戦っていきます。呪いとは何か、人の命とは何かという重いテーマを抱えつつ、仲間との友情や成長が丁寧に描かれる点も本作の魅力です。

◾️登場人物

『呪術廻戦』に登場するキャラクターたちは、それぞれが強い信念と複雑な背景を抱えながら、呪いと向き合い、戦いの中で成長していきます。物語を動かすのは、単なる術式の強さだけではありません。揺れ動く感情や過去、そして誰かを守るための選択が、彼らの行動に深く影響を与えています。

■虎杖 悠仁（いたどり ゆうじ）
声優：榎木 淳弥（えのき じゅんや）
本作の主人公。強い身体能力と優しさを持ち合わせた高校生。祖父の遺言を胸に「正しい死」を求めて呪術の世界に足を踏み入れる。

■伏黒 恵（ふしぐろ めぐみ）
声優：内田 雄馬（うちだ ゆうま）
呪術高専の1年生。冷静沈着で実力も高く、十種影法術（とくさのかげぼうじゅつ）を使って呪霊と戦う。虎杖の仲間。

■釘崎 野薔薇（くぎさき のばら）
声優：瀬戸 麻沙美（せと あさみ）
東京出身の呪術高専1年生。強気な性格で、呪具として釘と金槌を使う。自分らしく生きることに誇りを持っている。

■五条 悟（ごじょう さとる）
声優：中村 悠一（なかむら ゆういち）
呪術高専の教師であり、現代最強の呪術師。飄々とした性格ながら、冷静な判断力と圧倒的な力を持つ。

■両面宿儺（りょうめんすくな）
声優：諏訪部 順一（すわべ じゅんいち）
虎杖の体に宿る“呪いの王”。古代から恐れられてきた存在で、虎杖と共存しながら時に暴走することもある。

【その他の主な登場人物】
七海 建人（ななみ けんと） … 津田 健次郎
禪院 真希（ぜんいん まき） … 小松 未可子
狗巻 棘（いぬまき とげ） … 内山 昂輝
パンダ … 関 智一
東堂 葵（とうどう あおい） … 木村 昴
冥冥（めいめい） … 三石 琴乃
夜蛾 正道（やが まさみち） … 黒田 崇矢
夏油 傑（げとう すぐる） … 櫻井 孝宏／大塚 明夫（若年期／老年期）
真人（まひと） … 島﨑 信長
漏瑚（じょうご） … 千葉 繁
花御（はなみ） … 田中 敦子
脹相（ちょうそう） … 赤羽根 健治
加茂 憲紀（かも のりとし） … 日野 聡
西宮 桃（にしみや もも） … 釘宮 理恵
禪院 真依（ぜんいん まい） … 井上 麻里奈

第1期

『呪術廻戦』第1期は、その圧倒的なアクションと魅力的なキャラクターたちで多くのファンを惹きつけました。オープニングやエンディングの楽曲は、物語の持つテンポの良さや緊迫感、そしてキャラクターたちの成長を見事に音楽で表現しています。音楽と映像が一体となり、視覚的・聴覚的に作品の世界に引き込まれるこのシリーズでは、各テーマ曲が物語の進行とともにその深みを増していきます。

◾️【第1クールOP】廻廻奇譚 / Eve

Eveさんが歌う『廻廻奇譚』は、アニメの世界観と深く結びついた一曲です。スピード感のあるギターと緊迫したリズムが、物語に潜む不安や葛藤を鮮明に描き出します。冒頭から一気に引き込まれる展開で、感情の揺れを音で表現しているような構成が印象的です。重厚なサウンドにのせて、主人公たちの決意や迷いが重なり合う様子が丁寧に表現されています。歌声には語りかけるような静けさと感情の高まりが混ざり合い、ダークな物語と情熱的なサウンドがマッチ。アニメの幕開けを告げるにふさわしいエネルギーが詰まっており、物語の緊張感を支えています。『呪術廻戦』の世界に触れるたび、この楽曲が持つ意味がより深く感じられるでしょう。

◾️【第2クールOP】VIVID VICE / Who-ya Extended

Who-ya Extendedが手がけた『VIVID VICE』は、冷たさと熱さが交差するような印象を与えるオープニングテーマです。複雑なリズムと鋭いビートが、変化する物語の展開を見事に映し出しています。イントロから感じられる緊張感が、登場人物の抱える葛藤と見事に重なります。歌声は鋭く感情的で、激しさの中にどこか落ち着いた強さがあり、作品の奥深さを音で伝えてきます。音のひとつひとつが物語のシーンを想起させ、視覚と聴覚の両面から印象に残る構成。アニメの中盤から描かれるシリアスな展開を、音楽面でも引き立てる重要な役割を果たしています。疾走感だけでなく、複雑な感情の層を感じられる楽曲として高い完成度を誇る楽曲です。

◾️【第1クールED】LOST IN PARADISE feat. AKLO / ALI

ALIが手がけた『LOST IN PARADISE feat. AKLO』は、ジャズやファンクの要素を取り入れたサウンドが印象的な楽曲です。軽快なリズムと鮮やかなブラスの音が融合し、日常と非日常の境界を自然に行き来するような感覚を生み出すでしょう。ボーカルの色気を感じさせる歌いまわしに、ラップパートが心地よく絡み、映像の余韻を楽しく彩っています。アニメの緊張感から一転、肩の力が抜けたようなムードを作り出し、キャラクターたちの素顔が垣間見える演出ともマッチ。音楽と映像が一体となることで、作品の幅広さや深みをあらためて感じさせてくれる一曲です。アニメの終わりを迎える時間に、ポジティブな空気を届けてくれるこのナンバーは、シリーズ前半を彩る存在と言えるでしょう。

◾️【第2クールED】give it back / Cö shu Nie

Cö shu Nieによる『give it back』は、静けさの中に張りつめた空気が漂うような印象を与える楽曲です。ピアノの旋律と淡く揺れるようなリズムが重なり、深い余韻を残しながら物語の終わりを静かに締めくくります。歌声は囁くように始まり、徐々に熱を帯びていく展開が心を揺らし、作品世界への没入感を高めているでしょう。情景を連想させる音の運びが丁寧で、浮かび上がる感情を優しく包み込むようなアレンジが魅力的です。後半のストーリーに漂う哀しさや願いをそのまま音に変えたような仕上がりで、アニメとの結びつきも強く感じられます。映像と共に繰り返し聴くことで、作品への理解が一層深まるような感覚を得られるでしょう。

第2期

『呪術廻戦』第2期は、さらに深いドラマと複雑な人間関係が描かれ、音楽もその劇的な展開をサポートしています。各エピソードで流れるオープニングやエンディングテーマは、キャラクターたちの葛藤や成長を音楽的に反映しており、物語の感情の起伏を強調しています。音楽と映像によって、視聴者は作品の世界に没入し、キャラクターたちの心の動きを一層深く感じ取ることができます。今回は、そんな第2期のオープニング・エンディングテーマに焦点を当て、それぞれの楽曲がどのように物語を彩っているのかを見ていきます。

◾️【第1クールOP】青のすみか / キタニタツヤ

キタニタツヤさんが手がけた『青のすみか』は、青春時代に寄り添うような空気を纏う楽曲です。静かな立ち上がりから徐々に感情がせり上がる構成が、過去と現在が交差する物語の構造と重なります。ストリングスを取り入れた編曲は、淡い記憶や取り戻せない日々を象徴するかのようです。リズムの抑揚とともに展開されるメロディーが、登場人物たちの葛藤や絆を浮かび上がらせるでしょう。ボーカルは語りかけるような柔らかさと、内に秘めた衝動の両面を持ち合わせており、映像と一体となって印象を深めています。音数を絞りつつも密度のあるアレンジにより、切なさと美しさが同時に伝わる楽曲です。

◾️【第2クールOP】SPECIALZ / King Gnu

King Gnuの『SPECIALZ』は、渋谷事変の混沌とした空気感を的確に捉えた構成が特徴です。ギターのリフレインや歪んだ音色が、呪霊との対峙や急転する戦局をイメージさせます。跳ねるようなリズムと不規則な展開は、秩序が崩れゆく中で必死に抗う登場人物たちの様子が伝わるでしょう。ボーカルは重層的であり、複数の視点から物語を見つめるような構造を作り出しています。電子音とアナログな質感が共存するサウンドデザインが、現実と呪術の世界が交錯する物語全体に呼応しており、楽曲としての説得力を強く持っています。ドラマ性と実験性が共存するこの楽曲は、映像とともに物語を拡張させる役割を果たしているといえるでしょう。

◾️【第1クールED】燈 / 崎山蒼志

崎山蒼志さんが制作した『燈（あかり）』は、静かな余韻を残すギターサウンドが印象的です。細やかなフレーズ運びと揺らぎを感じさせる歌声が、終わりを迎える物語の一場面を丁寧に描き出しています。構成はミドルテンポでありながら、拍の切り替えがドラマ性を高めており、聴き手の意識を自然に引き込む力を持っています。アレンジには隙間が多く設けられており、音と音の間にある空白が、より深い感情の余地を与えてくれるでしょう。エンディングとしての役割も果たしつつ、単独の楽曲としての完成度も高い一曲です。

◾️【第2クールED】more than words / 羊文学

羊文学による『more than words』は、浮遊感のあるコード展開と淡々としたリズムが印象的な楽曲です。ボーカルの発声は輪郭をぼかしながらも確実にメッセージを届けており、情緒と静けさが同居するサウンド設計が魅力となっています。エレクトリックギターのアルペジオが空間を広げ、重ねられたコーラスとともに幻想的な響きを体験できるでしょう。構成には目立った転調がなく、持続する和声の中で徐々に感情が変化していく流れが強調されています。終わりと始まりの狭間を描くような楽曲であり、物語を静かに支える立ち位置として機能しているといえるでしょう。

映画『劇場版 呪術廻戦 0』

『劇場版 呪術廻戦 0』は、シリーズの中でも特に感情的な深みが増した作品であり、その音楽も映画のテーマをより一層引き立てています。映画のクライマックスに合わせて流れる主題歌やエンディングテーマは、キャラクターたちの激しい心の動きや葛藤、そして絆を力強く表現しています。映画の感動的な場面とシンクロし、楽曲は観客に深い印象を与えます。今回は、映画版で使用された『一途』や『逆夢』などの楽曲を通じて、音楽がどのようにして物語の感情を引き出し、より印象を与えているのかを探っていきます。

◾️【主題歌】一途 / King Gnu

映画『劇場版 呪術廻戦 0』の世界観を見事に反映した『一途』は、物語の核心に迫る感情を表現しています。主人公である乙骨憂太の葛藤と決意が込められた歌詞と、それに呼応するアレンジが印象的です。疾走感あるビートとギターのリフが、乙骨の強い意志を象徴するかのように響き渡ります。ボーカルの迫力とメロディーの抑揚が、彼の心情の変化をみごとに表現しており、サウンド全体が物語の緊迫感を引き立てているのが魅力です。映画のクライマックスに向けて加速するような楽曲の流れが、視覚的な興奮と融合し、深い感動を生み出しています。『一途』は、物語のテーマである「絆」や「覚悟」を音楽で見事に表現した作品と言えるでしょう。

◾️【ED】逆夢 / King Gnu

映画のエンディングにふさわしく、深い余韻を残す『逆夢』。夢と現実が交錯する映画のテーマにぴったりで、登場人物たちの心の葛藤を描き出しています。曲全体を包み込む静かな空気感と、時折立ち上がるダイナミックな音の波が、映画の結末に向けた感情の流れを表現。ボーカルは感情を抑えつつも、歌詞の中に秘めた情熱を感じさせる抑揚を持ち、映画のシリアスな空気を見事に締めくくります。リズムの浮遊感とともに展開されるメロディーが、夢のような非現実感を醸し出しつつ、現実へと引き戻す力を伝えるでしょう。『逆夢』は、映画のテーマに深くリンクし、観客に深い印象を与えるエンディングテーマです。

ゲーム『呪術廻戦 ファントムパレード』

◾️アヴァン / Eve

スマートフォンゲーム『呪術廻戦 ファントムパレード』の主題歌『アヴァン』は、ゲームの世界観を完璧に反映した楽曲です。ゲームの中で描かれる呪霊との戦い、仲間たちとの絆、そして個々のキャラクターの成長といったテーマを、力強くそして感情的に表現しています。疾走感のあるリズムとエモーショナルなメロディーが特徴で、ゲーム内の緊迫したバトルシーンや感動的な場面にぴったり合っています。テンポよく流れる音楽がプレイヤーを一気に物語の中に引き込み、ゲームの世界観をさらに深めてくれる効果をもたらします。歌詞には、主人公たちが挑む困難や、仲間との絆を強く感じさせるフレーズがちりばめられており、プレイ中にその歌詞を感じることで、キャラクターたちと共に物語を進めていく実感が湧いてくる楽曲です。

まとめ

『呪術廻戦』に登場する楽曲は、作品の持つ空気感を見事に音で表現しており、どれも物語と深く結びついています。オープニングは戦いの幕開けを、エンディングはキャラクターの内面を描くような構成が印象的です。映画の主題歌もまた、映像とともに心に残る仕上がりとなっています。