【体験談】10年間続けたバンドをやめた理由 〜音楽活動への区切り〜

バンドセット

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「バンドを続けようか悩んでいる…」「バンドを辞めた人のリアルな意見が聞きたい」という方もおられるでしょう。この記事では、10年近く続けてきたバンド活動をやめることになった、私自身の体験談をお伝えします。同じように中学・高校・大学と約10年にわたってバンドに打ち込み、卒業や就職を控えて将来や人間関係に悩んでいる人もいるのではないでしょうか。おそらくこの記事を読んでいる方のなかにも「バンド やめた理由」「音楽辞めた理由」といったキーワードで検索したこともあるかと思います。この記事では、長く続けてきた音楽との関わりをどのように整理し、新たな一歩を踏み出したのか――その経緯と胸の内を、経験から得た言葉でお伝えします。

saku

私が音楽を本格的に好きになったのは、中学時代に人間関係に悩んでいた頃、BUMP OF CHICKENに出会ったことがきっかけでした。

この記事をおすすめする人

・音楽活動やバンドを続けるか悩んでいる人
・趣味や夢に区切りをつけたいと考えている人
・バンド活動をしてきた人のリアルな体験談を知りたい人

【結論】バンドを続ける、辞めるはそれぞれの意志で決めること。夢のような大きな舞台で演奏することだけが活動ではなく、小さなライブハウスで演奏を続けていくことをライフワークにするのも選択肢の一つです。

目次

バンド活動を始めたきっかけと10年間の歩み

音楽と本格的に出会ったのは、中学時代でした。当時の私は人間関係に悩んでいて、教室でもどこか居場所がないように感じていた時期。そのとき偶然耳にしたのがBUMP OF CHICKENの『メーデー』でした。まるで自分の孤独や葛藤を代弁してくれるような歌詞に救われた感覚があって、気づけば何度も繰り返し聴くようになりました。その頃から自然と音楽に惹かれていきました。

本格的にバンド活動を始めたのは高校に入学してからです。軽音楽部に入り、同級生や先輩とバンドを組むようになりました。影響を受けたのは東京事変のスタイリッシュなサウンドや存在感。UKロックではOasisやBlur、The Verveが特に好きで、コード感やメロディの作り方にも大きな影響を受けました。私たちのバンドは女性ボーカルを立てた編成で、ジャンルに縛られず、おしゃれでどこか切なさも漂う楽曲を目指していました。

大学に進学してからも、バンドは私の生活の中心でした。学業やアルバイトをこなしながら、週末はスタジオにこもって曲作り。オリジナル曲をライブハウスで披露する日々は、自分にとって何よりの生きがいだったと思います。そうして気づけば約10年。メンバーとともに音楽を鳴らし続けた青春の日々は、今でも胸の奥に鮮明に残り続けています。

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邦ロックやUKロックだけでなく、アニソンやEDM、ボカロなど幅広い音楽が流行っており、YouTubeやニコニコ動画などで好きな音楽がいつでも聴けるようになったのも音楽が好きになったきっかけでした。

2010年代に流行っていた音楽
【邦楽】
・J-POP:いきものがかり、back number、米津玄師、星野源
・J-ROCK:ONE OK ROCK、[Alexandros]、KANA-BOON、KEYTALK
・ガールズバンド:SCANDAL、SHISHAMO、きのこ帝国
・オルタナ:凛として時雨、the HIATUS、People In The Box
・シティポップ:Suchmos、Yogee New Waves
・ボカロ:米津玄師(ハチ)、バルーン、DECO*27

【洋楽】
・EDM:Avicii、Calvin Harris、Zedd、David Guetta
・インディーロック:Arctic Monkeys、The 1975、Foals
・オルタナ:DIIV、Beach House
・R&B:Frank Ocean、The Weeknd
・ヒップホップ:Drake、Kendrick Lamar、Travis Scott

AWA株式会社が実施した調査では、2010年代にリリースされた楽曲のうち最も再生された楽曲TOP3が公表されています。ONE OK ROCKやあいみょん、Official髭男dismなどがランクインしており、音楽の流行りや時代の変遷が分かるでしょう。

参考:2010年代を締めくくる!リリース年別の再生数ランキングTOP3を発表!:PR TIMES

バンド活動の喜びと悩み

◾️ライブ活動の高揚感

バンド仲間と一つのステージに立った瞬間の興奮は、他では味わえない特別なものでした。藍坊主やRADWIMPS、UNISON SQUARE GARDENの曲を演奏したことを今でも覚えています。曲が始まると同時に観客の視線を感じ、仲間がリズムを刻む音に体が揺れ、会場が一つにまとまる感覚。

その中で演奏をやりきったときの達成感は、何ものにも代えがたい喜びでした。

特に印象に残っているのが、ELLEGARDENの『Salamander』や凛として時雨の『abnormalize』をカバーしたとき。難しい曲だったけれど、挑戦した分だけ観客の反応も熱くて、アンコールをもらえた瞬間には涙が出そうになりました。演奏後に「すごく良かった」「感動した」と手紙をもらったこともあり、あの便箋の文字は今でも大切に残しています。

POLYSICSのコピーバンドがオレンジ色の衣装で統一感を出していたり、アニメ『けいおん』のファンで結成されたバンドメンバーが制服を着て演奏したりとそれぞれのバンドのコンセプトが出ていたのも楽しい記憶です。

最初は好きなアーティストのコピーばかりでしたが、少しずつ自分たちの音を形にしたくなってオリジナル曲も作り始めました。仲間と夜遅くまでスタジオでアレンジを重ね、初めてオリジナル曲が完成したときの感動は、今でも忘れることができません。こうしたライブの醍醐味こそが、10年もの長い年月バンドを続ける原動力になっていたのだと思います。

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校内ライブやライブハウスなど演奏する場所によっても空気が違って、さまざまな音楽性の人と出会えたのも良い経験になりました。

現在バンド活動を続けている方は、ライブでよくある失敗を事前に確認しておくことをオススメします。

◾️過酷さとプレッシャー

しかし、その裏側には相当なしんどさもありました。バンド活動には時間と労力が膨大に必要で、放課後や休日に練習場所を押さえ続けるのは想像以上に大変でした。実際、「バンド活動には非常に多くの時間とエネルギーが必要で、学業や仕事、ほかの義務との両立が難しい」という意見も当時からよく耳にしていました。

仲の良い友達やメンバーとバンド活動を続けていくことは、簡単なようで難しいことを実感したのは20歳をこえた頃。

社会人になってからは特に、仕事を終えた後にスタジオ練習へ駆けつける日々が続き、体力的に限界を感じることもありました。さらに金銭的負担も重くのしかかりました。スタジオ使用料やライブ出演料、機材購入にかかる費用はかさみ、音楽で収益を作るのは難しく大抵のバンドは支出のほうが多いと言われるほどです。

私自身もオリジナル楽曲を書くコンポーザーを担当した経験があり、メンバー間のLINE返信の速さのギャップに悩んだ時期もありました。仕事の忙しさでそれぞれできることが変わってくることも受け入れる器が必要になります。


事実、私たちのバンドも毎月のように赤字で、貯金を切り崩しながら活動を続けていました。このように「時間もお金も余裕がない」という状況は、バンドを続けられなくなる十分な理由になるのではないでしょうか。

好きなこととはいえ、次第に体力的・精神的に追い詰められていく自分を感じていました。

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受験勉強や就職活動、結婚などのさまざまなライフイベントがきっかけで同じメンバーとバンドを続けるのが難しくなる局面があったのを今でも覚えています。

◾️将来への不安

株式会社InStyleが実施した20代向けの意識調査によると、音楽ライフが充実していると回答した人は全体の3割にとどまりました。10代のころと比較して充実していると回答している人が減少しているのがデータとして出ています。

バンド活動を続けるだけではなく、大学卒業後の進路について考え始めた頃には、将来への漠然とした不安が大きくなっていきました。

世間では「音楽で食べていくのは厳しい」と言われる一方で、やめてしまうと後悔するのではないかという思いもあり、心は揺れ動く日々。

実際に音楽キャリアを目指す人のほとんどが最終的に夢を諦めているという統計もあり、自分たちだけが特別ではないことは理解していました。

それでも「バンドで成果を出せなければ自分には才能がなかったのか」と自問自答したり、就職活動中に「今も音楽だけをやっていたほうが良かったのでは」と後悔が頭をよぎったりする日もありました。

大学の先輩や親戚から「就職したほうがいい」と言われることも増え、バンドを続ける夢と現実の間で大きな葛藤を抱えるようになっていったのです。

参考:【調査レポート】人生の節目に悩める20代、音楽ライフ「充実」は3割〜意識調査アンケートは引き続き回答を募集〜<中間報告>:PR TIMES

バンドを辞めた決断とその理由(バンドをやめた理由)

○バンドを辞めたいと感じる理由
・金銭面
・人間関係
・将来の不安

◾️時間とお金の余裕がなくなる

これまで述べたように、時間やお金の余裕がなくなったことが最大の理由でした。

社会人になると、自分だけでなく周りの仲間も仕事や家庭で忙しくなり、以前のように都合の良い日程で集まることが難しくなっていきます。

業務に追われる平日を終え、週末の練習・ライブに備える毎日は、体力的にも精神的にも限界ギリギリの状態。

しかも前述の通りバンドには多くの費用がかかり、月に何度もスタジオに入ったり機材を更新したりするだけで生活費を圧迫するようになっていました。

結果として「時間もお金も余裕がない」という状況が続き、バンドを優先することが困難になっていったのです。

バンド活動の余裕がなくなってしまう原因
・バンド活動にお金がかかる
・メンバーそれぞれのライブハウスまでの距離が違う
・土日休みや平日休みなどで休みが合わない

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平日は会社員、休日はバンド活動をおこないながらメジャーデビューした[Alexandros]のようなバンドも居るので、情熱を持ち続けることも大切なことといえるでしょう。(下記参照)

◾️音楽性の違い

また、音楽性や目指す方向性の違いも大きな要因になります。巷でもよく言われる話ですが、「音楽性の違いから解散した」という話がなくなることはありません。

明確な違いはありませんが、分かりやすくまとめた表を作成してみました。

ジャンル特徴代表的アーティスト(邦/洋)
邦ロックキャッチーなメロディ、青春・恋愛・葛藤を歌うBUMP OF CHICKEN、RADWIMPS、ONE OK ROCK
ギターロックギター主体、アルペジオや歪んだサウンドが特徴ELLEGARDEN、androp、Base Ball Bear
オルタナティブ王道から外れた実験的サウンド東京事変、アジカン、oasis、Radiohead
UKロックイギリス発祥、哀愁とメロディ重視oasis、blur、The Verve
インディーロック独立系レーベル発、個性的で自由なスタイルthe pillows、The 1975、Foals
ポストロック壮大・インスト中心、世界観重視toe、MONO、Explosions in the Sky
パンク/メロコア短く速い曲、エネルギッシュで衝動的ELLEGARDEN、Hi-STANDARD、Green Day
ハードロック重厚なギターリフ、パワフルなボーカルcoldrain、SiM、Linkin Park
メタル速弾き・激しいドラム、叫び声・シャウト多めBABYMETAL、DIR EN GREY、Metallica
ミクスチャーロック+ラップや電子音などジャンル融合型Dragon Ash、MAN WITH A MISSION、Rage Against the Machine
ポップロックロックにポップなメロディを融合flumpool、Mrs. GREEN APPLE
シューゲイザー轟音ギター、浮遊感あるボーカルLuminous Orange、My Bloody Valentine



バンド内にはそれぞれ好みのジャンルや演奏スタイルがあり、時にそのギャップが衝突を生みます。

特に、オリジナル楽曲を制作するようになるとメンバーの好みが顕著に出るもの。

例えば、邦ロックやUKロックを好むメンバーに対し、ボーカリストはポップな楽曲を求めるなど、メンバー同士で志向が大きく異なることがどのバンドでもあるかと思います。

その結果、「UKロックをやりたいギター」と「ポップをやりたいボーカル」ではうまくいかないこともありました。

こうした音楽的なずれは、練習やライブでの意見の食い違いに直結し、自分のやりたい音楽との間にギャップを感じるたびに葛藤が強くなりました。

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音楽性の問題を解決するためには、「このメンバーでどうしても続けたい」という思いやメンバーを信じる気持ちが重要だと今は確信しています。

◾️メンバーとのすれ違い

さらに、音楽以外の面でも仲間との関係が変化していきました。

学生の頃は毎日顔を合わせていた仲間も、社会人になると生活リズムが大きく異なり、交流の頻度が落ちていったのです。わずかな行き違いや誤解が積み重なるうちに、バンド内で意見が食い違う場面が増えていきました。

実際、「バンドメンバーとの対立や意見の不一致がバンドをやめる原因になる」ケースは少なくなく、私たちも小さな出来事がきっかけで溝を感じるようになりました。

私が体験したすれ違いの例を下記に提示します。

自分の意見バンドメンバーの意見
・バンドを成功させて専業にしたい
・オリジナル楽曲を演奏したい
・さまざまなバンドの企画に参加したい
・バンドは趣味にして会社員になりたい
・コピーバンドでいい
・社会人サークル内の活動でいい

人間関係の摩擦が募る中で「このままでは楽しく続けられない」という気持ちが強くなり、ついにはバンドを終える決断をせざるを得なくなりました。

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自分やメンバーの意見も活動を続ける中で変化するもの。それぞれの思いが変わってしまうからこそ毎回のライブや練習を大切にしたいですね。

バンドを辞めた後の心境と新しいスタート

机の上のイヤホン

◾️喪失感と解放感

バンドを辞めた直後は、これまでの生活が一気に変わり、強い喪失感に襲われました。週末の練習やライブが当たり前だった自分の予定表にぽっかり穴が開いたようで、抜け殻になったような虚無感がしばらく続きました。

けれども一方で、長年抱えてきたプレッシャーや疲労からは解放されていたのも事実です。

バスや電車でライブハウスまで向かう時間、ボーカルやギター、ドラム、ベースでバンド演奏するかけがえのない時間が終わったのは、全て自分の決断だから。

家族や友人とゆっくり過ごせるようになり、疲れ切っていた体を休める時間が取れたことで、身体的には徐々に回復していったのを感じました。

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辞めたからこそ得られた自由は、意外にも心を軽くしてくれました。

◾️音楽との距離感を見つめ直して

【バンド活動を辞めてから感じたこと】
・今まで関心がなかったジャンルの音楽を聴くようになった
・何かしらの形で音楽の表現を続けたいと思った
・これまで以上に音楽が好きになった

現在、音楽は私にとって一生の趣味となりました。バンドは辞めましたが、音楽そのものをやめたわけではありません。

今は趣味の範囲で楽器を弾いたり、好きなアーティストのライブに出かけて音楽を楽しんでいます。また、お客さんとしてライブを観に行く喜びも再発見しました。

「バンドを辞めた=音楽を否定した」と考える必要はなく、心の中に抱えた音楽への思いはそのままに、新しい形で音楽と向き合っています。

バンドを辞めてからは聴く音楽の幅もぐっと広がりました。もともとはギターロックが中心でしたが、邦ロックの枠を越えて、ハードロックやメタルにも手を伸ばすようになりました。特にSiMやcoldrainのような重厚なサウンドには衝撃を受け、ライブハウスで体感する重低音の迫力に心を掴まれました。

また、それまであまり聴いてこなかったヒップホップにも惹かれるようになり、Creepy NutsやBAD HOP、海外ではKendrick LamarやJ. Coleといったアーティストにもハマりました。言葉の力で世界を切り取る表現に新鮮な驚きを覚えています。

さらに、UKインディー好きの延長でThe 1975やFoalsも愛聴するようになり、音楽のジャンルという枠組みにこだわらず「好きな音を純粋に楽しむ」感覚が育っていきました。

今では「自分が演奏する音楽」と「聴く音楽」が完全に分離し、どちらも等しく大切なものになっています。音楽との距離感を見直したからこそ、新しい楽しみ方を発見できたと感じています。

同じ悩みを抱える人へのメッセージ

◾️自分の気持ちに正直に

バンド活動を続けるかどうかは、最終的に自分自身で判断することです。

周囲の声や「続けるべき」というプレッシャーに惑わされず、自分の心の声に耳を傾けてください。辛い決断ではありますが、自分のために使う時間を確保したり、音楽との関わり方を見つめ直すチャンスともいえます。

つまり、好きな音楽だけを追い続けられる人はごく一部であり、そうでない人も決して否定されるべきではありません。

saku

自分らしさを大切にし、自分が納得できる道を選び取る勇気を持ちましょう。

【バンドを辞めた後の音楽との向き合い方】
・ギターやピアノの弾き語り演奏にトライする
・好きなアーティストのライブに行く
・ボカロやインストの音楽を自主制作する

◾️音楽経験は人生の財産

たとえバンド活動を終えても、そこで培った経験やスキルは必ずや財産になります。

ステージで人前に立つ度胸や、仲間と意見を交換して曲を作り上げた創造力は、今後どんな仕事に就いても役立つはずです。

音楽を続ける道を選ぶにせよ、新しい道を模索するにせよ、「10年バンドをやり遂げた」という事実はあなたの自信になります。どんな決断も「経験」は自分の糧になることを信じて、前へ進んでほしいと思います。

以上が、私が10年間続けたバンドをやめる決断をするに至った理由とその後の心境です。

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同じような悩みを抱える人たちにとって、この記事が少しでも背中を押すヒントになれば幸いです。

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