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アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の歴代主題歌!OP・EDをまとめて紹介

『新世紀エヴァンゲリオン』は、1995年に放送開始されたSFロボットアニメで、庵野秀明監督が手掛けた作品です。人類の存亡を懸けた戦いを描きながらも、登場人物たちの心の葛藤や成長を丁寧に描写し、深い心理描写が魅力となっています。累計発行部数は2,500万部を超え、国内外で熱狂的なファンを獲得しました。謎めいたストーリー展開や哲学的なテーマが話題を呼び、社会現象を巻き起こしたことでも有名です。

本記事では、『エヴァンゲリオン』の世界観を彩る主題歌の魅力を、オープニング・エンディング曲を含めて徹底紹介します。
・『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニングやエンディングの曲をまとめて知れる
・各楽曲の魅力やアニメとの関連性について理解できる
・作品の世界観を彩る音楽の歴史を深く知ることができる
作品概要
『新世紀エヴァンゲリオン』は、1995年から1996年にかけてテレビ東京系列で放送されたSFロボットアニメで、庵野秀明監督が率いるガイナックスによって制作された作品です。
人類の存亡を賭けた戦いを描きながら、登場人物の心理描写や哲学的テーマに焦点を当てた斬新なストーリー構成が話題となり、国内外で大きな反響を呼びました。
特に、謎めいたストーリーや象徴的な映像表現は、多くのファンを魅了し続けています。
さらに、エヴァンゲリオンのデザインや音楽、キャラクターの個性豊かな描写も人気の要因です。
テレビアニメ終了後も映画やコミックなどのメディアミックス展開が続き、2021年に公開された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でシリーズは完結しました。
◾️アニメの制作会社
本作の制作は、日本のアニメ制作会社である株式会社ガイナックスが担当しました。
ガイナックスは、アニメファンの間でカルト的な人気を誇る『ふしぎの海のナディア』や『トップをねらえ!』など、独創的な作品を数多く手掛けてきたことで知られています。
『新世紀エヴァンゲリオン』は、ガイナックスにとっても代表作の一つであり、同社のクリエイティブな発想と革新的な映像技術が存分に発揮されました。
また、アニメーション制作にはタツノコプロも協力し、緻密な作画や演出に貢献しています。
特に、戦闘シーンの迫力やキャラクターの繊細な表情描写は、視聴者の心を掴む重要な要素となりました。
制作陣のこだわりと情熱が詰まった作品であることが、長年愛され続ける理由の一つです。
◾️あらすじ
物語の舞台は、西暦2015年の未来世界。突如現れた謎の生命体「使徒」によって、人類は絶滅の危機に瀕しています。国連直属の特務機関NERV(ネルフ)は、使徒に対抗するために人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」を開発。主人公である14歳の少年・碇シンジは、父・碇ゲンドウの命令によってエヴァンゲリオン初号機のパイロットとして戦うことを強いられます。シンジは、仲間である綾波レイや惣流・アスカ・ラングレーと共に使徒との壮絶な戦いに挑む一方で、孤独や自己否定と向き合いながら成長していきます。物語は、使徒の正体やエヴァンゲリオンの謎、そして人類補完計画など、多くの謎を含みつつ進行。シンジの心の葛藤や、周囲の人間関係が繊細に描かれることで、視聴者の心に深く訴えかける作品となっています。
テレビアニメ版
1995年に放送開始された『新世紀エヴァンゲリオン』のテレビアニメ版は、碇シンジが父親の命令で人型兵器エヴァンゲリオンに乗り込み、謎の生命体「使徒」と戦う物語です。舞台は第三新東京市で、人類補完計画という謎めいたプロジェクトが進行する中、シンジや綾波レイ、惣流・アスカ・ラングレーといった登場人物たちの心の葛藤や成長が描かれました。
重厚なストーリー展開や心理描写が話題となり、視聴者に深い印象を与えました。さらに、宗教的なモチーフや哲学的テーマが随所に盛り込まれ、考察の余地を残したことも特徴です。
音楽もまた作品の魅力を引き立てる重要な要素でした。オープニングテーマ『残酷な天使のテーゼ』は作品の世界観を象徴し、エンディングテーマ『FLY ME TO THE MOON』はエピソードごとに異なるアレンジで物語の余韻を深めました。これから、これらの楽曲について詳しく解説していきます。
◾️残酷な天使のテーゼ / 高橋洋子
『残酷な天使のテーゼ』は、高橋洋子さんが歌う『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニングテーマです。冒頭から印象的なイントロが響き、聴く者を一気に物語の世界へと引き込みます。壮大なオーケストレーションと情熱的な歌声が融合し、作品のテーマである人間の成長や葛藤を見事に表現しています。さらに、リズムの変化やテンポの切り替えが、楽曲全体に緊張感とダイナミズムをもたらし、何度も聴きたくなる魅力を放っています。アニメファンのみならず、多くの音楽ファンにも支持され続ける理由は、この完成度の高さにあります。現在でもカラオケで歌われることが多く、世代を超えて愛されている名曲です。
◾️FLY ME TO THE MOON / CLAIRE
『FLY ME TO THE MOON』は、CLAIREさんがカバーしたエンディングテーマです。ジャズのスタンダードナンバーとして知られる楽曲ですが、アニメ用にアレンジされたことで、幻想的かつ心地よい雰囲気が漂います。CLAIREさんの柔らかく透き通るような歌声が、作品の余韻を優しく包み込み、視聴者の心に深く響きます。シンプルながらも洗練されたサウンドが、物語の複雑なテーマやキャラクターたちの心情を見事に補完しています。アニメのエンディングにふさわしい落ち着いた雰囲気が、視聴後の感情を穏やかに整理させてくれる点も魅力です。多くのバージョンが存在する中でも、CLAIREさんのバージョンは特に高い評価を得ています。
旧劇場版
1997年に公開された『新世紀エヴァンゲリオン劇場版』は、テレビアニメ版のクライマックスを描きつつ、より深い心理描写と哲学的テーマに踏み込んだ作品です。『Air/まごころを、君に』では、碇シンジをはじめとするキャラクターたちの苦悩や人間関係が極限まで描かれ、観る者に強烈な衝撃を与えました。
特に、音楽面ではバッハの『G線上のアリア』やヘンデルの『メサイア』などのクラシックが使用され、壮大な映像と見事に融合。キャラクターたちの心情や物語のテーマを深く引き立てています。これにより、エヴァンゲリオン特有の世界観がさらに際立ち、観る者の感情に訴えかける作品となりました。
この章では、旧劇場版で使用された楽曲の魅力や、物語との繋がりについて詳しく解説していきます。
◾️魂のルフラン / 高橋洋子
高橋洋子さんが歌う『魂のルフラン』は、劇場版『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌です。重厚なイントロから始まり、力強いボーカルと荘厳なアレンジが、作品の壮大な世界観を見事に表現しています。楽曲全体に漂う緊張感とエモーショナルな歌声が、登場人物たちの葛藤や運命に寄り添い、聴く者の心を揺さぶります。特に、静と動のコントラストが際立っており、物語のクライマックスにふさわしいドラマチックな仕上がりとなっています。公開から長い年月が経った今でも、多くのファンに愛され続ける名曲であり、エヴァンゲリオンの世界観を象徴する一曲です。
◾️THANATOS -IF I CAN’T BE YOURS- / LOREN & MASH
『THANATOS -IF I CAN’T BE YOURS-』は、LOREN & MASHが歌う旧劇場版の挿入歌です。静かでミステリアスなイントロから始まり、徐々に情感が高まる展開が特徴です。LORENさんの独特な歌声が、作品の深遠なテーマやキャラクターたちの心情に寄り添い、観る者に強い印象を与えます。英語詞による歌詞とエレクトロニカの要素を融合させたアレンジが、エヴァンゲリオンの独創的な世界観と絶妙にマッチしています。特に、クライマックスへ向かう盛り上がりが、劇場版の緊張感と感動をより一層際立たせています。独特な空気感を持つ一曲として、多くのファンに支持され続けています。
新劇場版『序』
2007年に公開された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』は、テレビアニメ版をベースにしながらも映像やストーリーに大胆な改変を加えた作品です。新たな視点で物語を再構築し、碇シンジや綾波レイといったキャラクターたちの心理描写がさらに深まりました。
映像美やCG技術の進化により、使徒との戦闘シーンはより迫力を増し、観客に強烈な印象を与えました。また、謎に包まれたネルフの計画や、シンジの葛藤が繊細に描かれることで、観る者の感情を揺さぶる作品となりました。
音楽面でも進化を遂げており、宇多田ヒカルによる『Beautiful World』がエンディングテーマとして起用され、作品の世界観を鮮やかに彩りました。さらに『Fly Me To The Moon (In Other Words) -2007 MIX-』では、クラシックな楽曲が新たなアレンジで再解釈され、作品の深遠なテーマを強調しました。これから、これらの楽曲について詳しく解説していきます。
◾️Beautiful World / 宇多田ヒカル
『Beautiful World』は、宇多田ヒカルさんが新劇場版『序』の主題歌として手掛けた楽曲です。柔らかで透明感のある歌声とシンプルなピアノの旋律が特徴で、徐々に壮大なアレンジへと展開していきます。登場人物たちの葛藤や心情を表現するかのような深いメロディーが、視聴者の心に響きます。楽曲のタイトルが示す「美しい世界」という言葉とは裏腹に、作品が描く複雑で苦悩に満ちた世界観を見事に映し出している点も魅力です。エンディングで流れることで、物語の余韻を一層引き立て、感動を深く刻み込んでくれます。2007年のリリース以来、多くのファンに愛され続ける名曲です。
◾️Fly Me To The Moon (In Other Words) -2007 MIX- / 宇多田ヒカル
『Fly Me To The Moon (In Other Words) -2007 MIX-』は、宇多田ヒカルさんによる新劇場版『序』のエンディングテーマです。ジャズの名曲として知られる原曲を大胆にアレンジし、電子音と柔らかな歌声を融合させた独自の世界観を作り上げています。軽やかなリズムと穏やかなメロディーが心に染み渡り、物語の切なさや登場人物の孤独感を際立たせています。特に、シンプルながらも洗練されたサウンドが、作品のスタイリッシュな映像美と絶妙にマッチしています。宇多田ヒカルさんの表現力豊かなボーカルが、エヴァンゲリオンの独特な世界観を見事に補完している一曲です。
新劇場版『破』
2009年に公開された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』は、前作『序』から続く物語に大きな変革をもたらした作品です。新たなキャラクターである真希波・マリ・イラストリアスの登場や、アスカの心情の変化など、キャラクターの内面に深く踏み込んだ描写が展開されました。
映像面では、さらに進化したCG技術や圧倒的なスケールの戦闘シーンが観客を魅了し、使徒との戦闘は緊張感あふれるものとなりました。特に第8使徒との戦いは、その激しさと演出の美しさでファンの心を掴みました。
音楽面では、宇多田ヒカルによる『Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-』がエンディングテーマとして採用され、作品の持つ切なさや希望の光を見事に表現しました。壮大なストーリーと音楽が見事に融合し、観る者に強い感動を与えました。これから、楽曲について詳しく解説していきます。
◾️Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix- / 宇多田ヒカル
『Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-』は、新劇場版『破』のエンディングテーマとして制作されました。宇多田ヒカルさんの優しい歌声が際立つアコースティックアレンジが施され、原曲の壮大さとは異なる温かみを感じさせます。シンプルなギターの音色と穏やかなリズムが、作品のテーマである「心の揺れ動き」を繊細に描き出しています。楽曲全体に漂う静かな情感が、登場人物たちの内面の葛藤を見事に表現し、視聴後の余韻を深めてくれます。リスナーの心に寄り添いながらも、エヴァンゲリオンの哲学的なテーマを見事に音楽で描き出した名曲です。
新劇場版『Q』
2012年に公開された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』は、前作『破』から14年後の世界を描き、観客に大きな衝撃を与えた作品です。碇シンジは深い眠りから目覚め、荒廃した世界や変わり果てた仲間たちの姿に戸惑いながらも、新たな現実に向き合うことを強いられます。
これまでのシリーズとは一線を画す独特な雰囲気や、複雑に絡み合った人間関係が描かれ、観る者に強い緊張感と謎解きの楽しさを提供しました。また、ヴィレという新組織の登場や、渚カヲルとの心の交流が物語の核となり、シンジの内面の葛藤がより鮮明に表現されています。
音楽面でも、宇多田ヒカルによる『桜流し』がエンディングテーマとして使用され、作品の深い哀しみと希望を繊細に描き出しました。心に響くメロディーと歌詞が、物語の余韻を強く残します。これから、楽曲の魅力について詳しく解説していきます。
◾️桜流し / 宇多田ヒカル
『桜流し』は、新劇場版『Q』の主題歌として宇多田ヒカルさんが手掛けた一曲です。静かなピアノの旋律から始まり、徐々に壮大なサウンドへと変化していく構成が、物語の切なさや登場人物たちの苦悩を見事に表現しています。特に、宇多田さんの感情豊かなボーカルが、深い哀しみや希望の光を繊細に描き出しており、聴く者の心を揺さぶります。楽曲全体に漂う静かな緊張感が、作品の世界観に深く溶け込み、視聴後の余韻を一層強く残してくれる名曲です。新劇場版シリーズの集大成として、多くのファンに愛される一曲となっています。
シン・エヴァンゲリオン劇場版:||
2021年に公開された『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は、長きにわたる『エヴァンゲリオン』シリーズの完結編として、多くのファンから注目を集めました。碇シンジの心の成長や、仲間たちとの絆、そして使徒との最終決戦が壮大なスケールで描かれ、観る者に感動と希望を与えました。
これまでの謎や伏線が丁寧に回収されるとともに、キャラクターたち一人ひとりの心情や選択が深く掘り下げられ、シリーズの集大成にふさわしい作品となりました。
音楽面でも、宇多田ヒカルの『One Last Kiss』がエンディングテーマとして起用され、作品の余韻をより一層引き立てています。さらに、『Beautiful World(Da Capo Version)』では、過去の楽曲を新たな解釈で再構築し、作品のテーマである「再生」と「希望」を象徴的に表現しました。これから、これらの楽曲の魅力について詳しく解説していきます。
◾️One Last Kiss / 宇多田ヒカル
『One Last Kiss』は、宇多田ヒカルさんがシン・エヴァンゲリオン劇場版:||の主題歌として手掛けた楽曲です。別れと再生をテーマにした歌詞と、心に響く優しいボーカルが、作品のエモーショナルな世界観と見事に調和しています。シンプルなシンセサウンドと柔らかなリズムが、物語の終焉への切なさを際立たせています。宇多田さんの豊かな表現力が、登場人物たちの心情や成長を見事に描き出し、視聴者に深い感動を与える一曲となっています。エヴァンゲリオンシリーズの集大成にふさわしい名曲です。
◾️Beautiful World(Da Capo Version) / 宇多田ヒカル
『Beautiful World(Da Capo Version)』は、シン・エヴァンゲリオン劇場版:||のエンディングテーマとして制作されました。原曲の『Beautiful World』の魅力を保ちながらも、アレンジによって新たな情感が加えられています。宇多田ヒカルさんの温かみのあるボーカルが、エヴァンゲリオンの壮大な物語に寄り添い、視聴後の余韻をさらに深めています。静かなピアノの旋律や繊細なアレンジが、作品のテーマである「希望」と「再生」を見事に表現しており、シリーズの最終章にふさわしい感動的な一曲です。
エヴァンゲリオンの劇中歌に使用されたクラシック
『エヴァンゲリオン』シリーズでは、物語の緊迫感やキャラクターの心情をより深く表現するために、クラシック音楽が印象的に取り入れられています。
壮大な戦闘シーンや心理描写の背景に流れるクラシックの旋律は、視聴者に強烈な印象を与え、物語の世界観を一層際立たせています。
ここでは、劇中で使用された代表的なクラシック楽曲について詳しく解説します。
◾️メサイア / ヘンデル(第22話「せめて、人間らしく」)
ヘンデルの『メサイア』より「ハレルヤ・コーラス」は、キリスト教の賛美歌として知られる壮大な合唱曲です。エヴァンゲリオンでは、第弐拾弐話「せめて、人間らしく」において流れ、シンジとアスカが第15使徒アラエルと対峙する場面で使用されました。この楽曲は、壮麗なメロディーと高揚感のあるコーラスが特徴で、戦いの激しさと対照的な効果を生み出しています。アスカの精神が次第に追い詰められていく過程で流れることで、彼女の孤独や焦りが際立ち、物語の緊迫感を高めました。クラシック音楽の持つ神聖さと、エヴァの持つ独特な世界観が融合し、視聴者に強烈な印象を与えた場面のひとつです。
◾️歓喜の歌 / ベートーヴェン(新劇場版:Q、第24話「最後のシ者」)
ベートーヴェンの交響曲第9番「歓喜の歌」は、人類愛を象徴する楽曲として知られています。エヴァンゲリオンでは、第24話「最後のシ者」で、渚カヲルがピアノを弾くシーンや、新劇場版:Qでのシーンに使用されました。特にカヲルの登場シーンでは、彼の神秘的な雰囲気を強調し、シンジとの交流を印象づけています。シンジが混乱する中、彼との出会いは一時の安らぎをもたらしますが、その結末は悲劇的なものとなります。「歓喜の歌」が持つ壮大な旋律が、彼の言葉や行動に込められた意味を強く印象づけ、観る者の心に残る場面となりました。
◾️ G線上のアリア / バッハ (Air/まごころを、君に)
バッハの『G線上のアリア』は、その穏やかで情感豊かな旋律が特徴の楽曲です。エヴァンゲリオン劇場版『Air/まごころを、君に』では、終盤の重要な場面で使用されました。シンジがアスカとの関係や、自身の存在に苦悩する心理描写の中で流れるこの楽曲は、静かな絶望感と儚さを際立たせています。バッハの音楽が持つ神聖さが、物語のテーマである「人間の心の葛藤」と見事に共鳴し、視聴者の心に深く響きました。無駄のない旋律がシーンの緊張感を引き立て、シンジの孤独や哀しみをより一層強調する役割を果たしています。クラシック音楽の美しさが、エヴァンゲリオンの世界観に溶け込んだ名場面と言えるでしょう。
◾️フェルナンド・ソル「モーツァルトの『魔笛』の主題による変奏曲」 (新劇場版:破)
フェルナンド・ソルの『モーツァルトの「魔笛」の主題による変奏曲』は、クラシックギターの名曲として知られています。新劇場版『破』では、穏やかなシーンで流れ、シンジが葛藤や不安から解放される一時の安らぎを表現する場面で使用されました。繊細なギターの音色は、エヴァの激しい戦闘や心理描写とは対照的に、心の平穏や優しさを象徴しています。特に、シンジと父・ゲンドウの関係性や、綾波レイへの思いが交錯する場面で、この楽曲が背景として流れることで、感情の奥深さが際立ちました。モーツァルトの旋律が持つ柔らかさと、ソルのギターアレンジの美しさが見事に融合し、エヴァンゲリオンの独特な世界観を彩る重要な一曲となっています。
◾️Joy to the World (もろびとこぞりて)」 (シン・エヴァンゲリオン劇場版:||)
『Joy to the World』は、世界的に有名なクリスマスキャロルであり、日本では「もろびとこぞりて」として親しまれています。シン・エヴァンゲリオン劇場版:||では、クライマックスのシーンで印象的に使用されました。もともと喜びを祝う楽曲であるにもかかわらず、エヴァの世界観では皮肉や悲哀を伴った演出として使われ、視聴者に強烈な印象を残しました。ネルフやヴィレの戦い、そしてシンジの心の葛藤が描かれる中で流れるこの曲は、希望と絶望が交錯するエヴァのテーマを象徴しています。楽曲の明るさと物語の重厚さのギャップが、より深い感情の揺さぶりを生み出し、作品のラストに強い余韻を与えました。
◾️バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」 (シン・エヴァンゲリオン劇場版:||)
バッハの『主よ、人の望みの喜びよ』は、静謐で荘厳な旋律が特徴の楽曲です。シン・エヴァンゲリオン劇場版:||では、物語の終盤で使用され、シンジが自身の過去や他者との関係に向き合い、再生への決意を固める重要なシーンで流れました。バッハの音楽が持つ敬虔さと、エヴァの哲学的なテーマが見事に融合し、視聴者に深い感動を与えました。シンジの心の変化や、仲間たちとの絆が描かれる場面で、この楽曲の穏やかな旋律が流れることで、物語のクライマックスに温かみを加えています。宗教的な楽曲の選択は、エヴァシリーズが持つ「人類の救済」というテーマにも通じており、作品全体のメッセージ性を強く印象づける役割を果たしています。
◾️モーツァルト「Ave verum corpus」 (シン・エヴァンゲリオン劇場版:||)
モーツァルトの『Ave verum corpus』は、ラテン語で「真実の御体」を意味する宗教曲であり、魂の救済を祈る楽曲として知られています。シン・エヴァンゲリオン劇場版:||では、最終決戦の後、シンジが自らの罪や苦しみと向き合い、再び世界を救おうとする場面で使用されました。モーツァルトの厳かで美しい旋律が、シンジの自己犠牲や成長を象徴し、物語の感動的なフィナーレを彩りました。この楽曲が持つ静かな祈りのような雰囲気は、エヴァンゲリオンのテーマである「再生」や「救済」に深くリンクしており、視聴者の心に強く響きました。
まとめ
『エヴァンゲリオン』シリーズは、その緻密なストーリーや個性豊かなキャラクターだけでなく、作品を彩る音楽も大きな魅力の一つです。
テレビアニメ版から新劇場版に至るまで、各シーンで流れる楽曲は、登場人物たちの心情や物語のテーマを見事に表現し、視聴者の心に深く刻まれました。特にクラシック音楽や宇多田ヒカルさんの楽曲など、時代を超えた名曲たちが、エヴァ独自の世界観にさらに深みを与えています。
本記事では、テレビアニメ版の名曲から劇場版で使用された楽曲までを網羅し、それぞれのシーンでどのように感情やストーリーとリンクしているのかを解説しました。音楽の力によって、キャラクターの葛藤や成長がより鮮明に描かれ、物語への没入感を一層高めてくれます。
『エヴァンゲリオン』の世界に浸りながら、楽曲一つひとつに込められたメッセージを感じ取ることで、作品をより深く楽しむことができるでしょう。ぜひ、音楽にも耳を傾けながらエヴァの魅力を再発見してみてください。
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